中国人の「癖」&日本人の「根性」                NO.1  何でも「できる」と約束する中国人といつも「検討する」と言う日本人        

 「中国人は何でもできる、何でも大丈夫」という、中国でビジネスをする日本人なら、大半はそう思っているだろう。中国人は「空約束をして客を引き止めるが、仕事には無責任だ」と結びつける日本人も多い。
 たしかに中国ローカルの会社は客を引き止めるのが必死だ。ただ、私が経験している限りでは、彼らには「ぜひ成功させる」、「全力をかける」という熱意と誠意が確かにあると思う。問題は日本の物づくりの厳しさを知らない。また、知らないがために自信過剰になる。「このくらいならできる」、「友たちの会社に頼めば作れる」と思って軽く約束して結果的にはヤケドしてしまう。生産現場をまったく知らない貿易会社と取引をする場合は特に要注意。
 さらに問題なのは、自社製品品質の厳しさ、その背後にあるこまめな管理を伝えずに、安い値段だけで業務を委託する会社や担当者が多い。相手の「できる」約束を鵜呑みし、とくに一杯の白酒を飲んだ後、堅い握手をすれば、「頼むぞ」と終わり。このような有様では、中国企業の「空約束」を責められない、むしろ自分のお客様に対する責任感を問うべきではないかと思う。
 日本仕様の物作りができる中国ローカルの会社は1割か2割しかないと思う。指導も確認もなく確実にできる会社は皆無といってもいい。そのためには、「この会社は指導したらできる、或いは確認をしっかりしたら大丈夫」という基本判断が必要。日本と違って、中国は産業基盤・会社・会社の管理や担当者の力量などバラツキが大きく、物づくりを支えるこれらの要素を確認して、必要なサポートを行う、苦労も辞さないという覚悟と行動がなければ「できる」約束の落とし穴にはまる。
 一方、日本人は「できる」場合も、「持ち帰って検討する」と回答する。細かい問題点を気にするせいか、100%の見通しがなければ、或いは完璧な構えがなければ、なかなか決断しない、行動しない。しかし、100%の見通しはそもそも存在しない。100%の構えも結果であってスタートではない。「やりながら問題を解決すればよいのではないか」と中国人は思い、「日本人と商売するときに、時間がかかりすぎる」、「市場が待ってくれないのに・・・」と苛立つ。
 「できる」と空約束する中国人と「検討する」といつまでも躊躇する日本人とは本質には変わらないと思う。