せめて下記の要点を抑えましょう

要点1

投資当初、投資環境や経営状況を想定し、撤退の数値指標を設けます。

要点2

撤退に必要な撤退資金を念頭に、事業計画にて予備金を蓄えます。

要点3

有終の美を飾るラメに、普段から社員との相互理解に努めます。

参考事例

  • 事例1

    業種 アパレル
    投資先 北京
    投資総額 5.6億円(独資)
    会社規模 5社(計3500人雇用)
    投資時期 1995年

    投資当初

    「衣食住行」の中で最も日常的消費の一つとして、アパレル企業はその需要を満たす使命にあります。投資計画の当初から、逆輸入に限らず、市場に視野を入れ、ブランドを立ち上げて、パートナーと提携し、中国消費者にも自社商品を知って頂くことにしていました。

    撤退対策

    昨年、中国における生産はベトナムなどより安価の地域からの輸入品に押され、事業の移転を余儀なくされ、中国から撤退を決めました。 しかし、解雇問題・土地や建物の売却問題・会社清算の問題など、かなり複雑で予想しなかった問題は発生。

    ここで「活かす」考え方はモノを言いました。同社は徹底はしますが、中国パートナーに事業を売却する方法を取りました。

    同パートナーはアパレル製品の貿易商社で、自社の縫製工場を作ることを検討していたタイミングでした。長年の信頼関係があり、なお、引き続き中国市場におけるデザインと販売で協力し合うということで、順調に徹底することができました。もちろん、計画通り、当初投資した土地や工場建物の売却金も回収できました。

  • 事例2

    業種 産業機器製造販売
    投資先 江蘇省
    投資総額 5.4億円(独資)
    会社規模 120人
    投資時期 2002年

    投資当初

    同社は1970年代からすでに中国に製品を販売していました。その経験と市場に対する確信もあって、比較的に早く投資を決めました。事業計画を立てる際には、「中国市場のための製品を作ろう」という同社経営者の考えで、現地法人に研究開発チームを設けました。

    撤退課題

    ①ある筋の情報では、不動産売却益の約60%が、税金などの名目で中国政府に徴収される。

    撤退対策

    ①まず、情報の正誤を確認したところ、不動産売却益の60%が中国政府に徴収されることは誤った情報であることは分かった。

    ②撤退に伴う解雇費用はきちんと支払うべきである。

    ③上記①と②を踏まえて、撤退は「すぐに」ではなく、1年をかけて「徐々に」進める。

    ④計画的に生産量を減らし、社員数も減らす。雇用問題によるトラブルのリスクを最小限に抑えるためです。

    ⑤1年をかけて、会社を買収してくれる企業或いは工場全体を賃貸で使用する会社を探す。清算時の税金対策撤退費用を極力に抑えるためです。

    ⑥研究開発部門を中国に残して、過去の顧客に対するサービスをしながら、新しい投資先への製品開発や貿易管理などを引き継ぐ。同社経営